第54章 招かれざる客

そう言いながら、彼女は翡翠のバングルを南坂海乃の手首に通そうとした。

南坂海乃はびくりと肩を跳ねさせ、慌てて手を引っ込める。

「お、お義母さん! こんなの……高すぎます! 私、受け取れません!」

家の代々の品だ。

自分と野口颯汰は恋人のふりをしているだけ――これをもらってしまったら、あとでどう返す? 話の重みが、まるで変わってしまう。

野口の母はやや強引に海乃の手を取り、ぐいっと引き寄せた。

「いいのよ、あげるって言ったら受け取るの!」

「あなたは颯汰の彼女なんだから、これからはうちの家族になる人よ。受け取れない理由なんてないわ」

「……それとも、この腕輪、古くさいって嫌なの...

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